桃夭学園どきどき日誌


第3話

 ……自分の描いた絵を見てもらおう、とあなたは考えた。

 自分の思いを言葉ではなく、形で示そう。
 誰のものでもない、自分だけの精一杯の思いを、他でもない、
将来目指そうとする絵に託して。

「そうね、それが一番いいってわたしも思う」

 七条さんも賛成してくれた。
 きゅっと握られた手が心地よくてどきどきする。

「どんな絵を描くつもりなの?」

 あなたは、にっこりと頷き、今一番描きたいと思う対象を指さした。

「うんうんなるほど…………………………え?」

 自身を示す指先に気づき、七条さんの目が驚きに見開かれた。

「待って待って、ちょっと待って。それはその、わたしを、絵の、モデルにするって……こと?」

 もちろんそのつもりである。
 あなたは首を縦に振った

「だめだめだめ! ほら、わたしなんか描いてもしょうがないし、世の中には
もっとこう、モデルに適した素敵な相手がきっといるとわたし思うんだけど!」

 ……どうも、七条さんはモデルに臆している様子だった。
 別に脱いで欲しい、という訳ではないのだが……。

「ぬ、脱ぐ!? だ、だめぇっ! それだけは、それだけはっ!」

 いえ、脱がなくていいんですってば。



 翌日。
 あなたはため息をつきつつ、廊下を歩いていた。

 あなたは言葉を尽くして説得を試みたが、七条さんの承諾を得ることは
出来なかった。

「落ち着いて考えましょうっ! ほ、ほらっ。わたしなんかより、もっと綺麗な人が
この桃夭学園にはゴロゴロしてるからっ!」

 モデルが嫌というよりは自分よりも適した相手がいる、と七条さんは信じて
いるらしい。

 困った。

 他にどんな綺麗な人がいようと、あなたが描きたいのは七条さんなのだ。
 どうすれば引き受けてもらえるだろう?

「も、もう! 薫くんもたかぼーも! わたしがモデルなんて申し訳ないでしょ!
 やめやめ、この話終わりっ」

 出し抜けに、今まさに脳裏に浮かべていた相手の声が聞こえた。

 こっそりと廊下の影から様子を窺うと、そこには七条さんと後輩らしき
女子生徒と、それから……。

「しょーがねーなー、櫻子姉は」

 この学園では珍しい光景だった。
 女子である七条さんたちと、男子二人が仲良く言葉を交わしていたのだ。

 一人の小柄な男子は「はー、やれやれ」と肩を竦め、もう一人は困ったような
顔をして笑っている。

「まったく………………はっ!」

 あなたの視線に気付いたのだろうか、七条さんはふり返ると、きゃっと可愛らしい悲鳴をあげてあたふたと逃げてしまった。

「あ。さ、櫻子様ーっ?」

 ……残念。
 あなたは追跡を諦め、唖然とした表情で残っている三人の生徒を眺めた。

 このままではらちが開かない。

 後輩の女子生徒と、七条さんと仲が良いらしい男子生徒。
 果たしてどちらに話しかければ彼女をモデルにするための突破口を開けるだろうか……?

1.男子生徒二人に話しかける

2.女子生徒に話しかける

※選択肢の〆切は8/7(月) 0:00です。



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