桃夭学園どきどき日誌


第7話

 いよいよ面接である。

 面接は三月三日委員会室で行うこととなった。
 担当するのは秋月理々子とあなた、そしてこももである。

 こももはあなたの腕に抱かれている。

「あなたの飼い主にふさわしい人を選んであげますからね?」

 秋月さんが優しげな瞳でこももの喉を撫でた。
 もちろん、あなたも全力を尽くすつもりである。



 新聞の誇大広告(※『今なら秋月理々子も付いてくる』)に乗せられた人をばっさばっさと落としていく中、なかなか適当な人材は見つからなかった。

 そろそろこももやあなたたちにも疲れが見え始めた頃、意外な人物がおずおずと委員会室に入ってきた。

「……学年と名前をどうぞ」

 秋月理々子さんは、一瞬驚いた様子だったがすぐさま平静を取り戻しそう促した。

「ええと、3年Aクラスの七条櫻子です……」

 右大臣であり秋月理々子さんの姉である、七条櫻子さんだった。

「右大臣、確認するまでもなくあなたも寮住まいなわけですが、どなたか飼ってくださる方のアテでも?」

「……あ」

「なんですか、言われて初めて気がついたといった今の『あ』は」

「だ、だってね? 可愛らしい猫ちゃんがね? 私の理性に直撃してね? それに今なら理々子もついてくるって書いてあってね? つい、魔が差して……」

「新聞部の誇大広告に踊らされるなんて、少々注意力が……にゃあ……いいえ? こももを怒ってるんじゃありませんからね? こほん、だいたい右大臣はっ……にゃー……はいはい、大丈夫ですからね? とにかく! 以後気をつけてください」

「くすん。こももちゃん、お母さんになれなかった不甲斐ないわたしを許してね……?」

 七条さんが涙ながらに手を振ると、

 にゃう……。

 こもももまた、寂しそうに手を振っていた。

「……では、次の方どうぞ」



 結局「これは」という生徒に行き当たるまでに、面接した生徒は二十名を優に超えていた。

「それじゃあ、猫を飼った経験はあるんですね?」

「はい! 実家にはいま、三匹猫がいます。わたしも子供の頃から、その猫と一緒に育ってきました! 猫の世話も、家族全員大丈夫です!」

「新しく一匹増えることに、ご家族の方はどう仰ってますか?」

「大歓迎だそうです!」

 秋月さんはこももと目線を交わして頷いた。



 ようやく面接が終わった。
 あなたたちが心地よい疲労に浸っているときだ。
 委員会室のドアをノックする音が響いた。

「はい?」

 ドアを開けると、そこには五味淵さんと――。

「……」

 目に涙を溜めた小学生らしき女の子が立っていた。

 にゃーっ!

「……こもも?」

 こももが、彼女の姿を見るなりじたばたとあなたの腕から逃れようとしていた。

「彼女が……本来の飼い主らしい……」

 五味淵さんの言葉に、あなたと秋月さんは目を丸くした。



「パパが……ひっく……すててきなさいって……この学校、猫がいっぱいいるって……ひっく……知ってたから……だけど……やっぱり捨てるなんて……」

「ママといっしょにおねがいして……パパに……ちゃんとお世話するならって……ゆるしてもらったから……」

 五味淵さんは少女を支え、優しく二度三度と肩を叩いた。

 あなたと秋月さんは今日何度目かの溜息をついた。

 ……さて、あなたはどうすべきだろう?

1.当初の予定通り、女子生徒に引き渡すべき

2.この女の子を信じてみよう

※選択肢の〆切は6/26(月) 0:00です。



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