世界観

1:神沢市

 ASSHS患者――通称人妖病の患者たちが暮らしを営む街。

 K県に存在しており、人妖と普通の人間の比率はおおよそ96:4。

 元々は取り立てて特徴のない、ごく普通の都市であったが、戦後の好景気に取り残された焦りから、1960年半ばに人妖病患者の収容施設を誘致して以来、患者の数が増える一方で、普通の市民は大量に他区域に流出した。

 1978年、市会議員だった押野登喜夫(人妖)が市長に選出され、この都市が人妖の収容都市へと生まれ変わる決定的なきっかけを作り上げた。

 街の周囲は防壁で囲まれ、さらに周囲には自衛隊が展開しており、入ることは容易くとも市外へ出ることは困難。

 近年、この厳戒状態もようやく緩和の兆しを見せ始めた。

 神沢市が人妖病患者の収容施設を誘致した際の条件である莫大な補助金助成は今もなお続いており、市役所を中心とする場所は極めて近代的な都会の風景だが、車で一時間も走れば辺鄙な田舎の風景に戻ってしまう。

 都市が都市として成立するための条件はその補助金で一通り取り揃えられており、神沢市専用の発電所すら建てられたほど。

 迫害を逃れて海外から亡命してきた人妖病患者も数多く、独自のコミュニティを作り上げている。
 ただし、中には人妖病患者たちの力を探るためのスパイ活動が行われている形跡もあり、防衛庁防衛局調査課神沢支部、通称『防神機関』が調査を続けている。

2:オセロットシティ

 アーク・メリア連邦国の主要都市。人口約三百万人。一本の河川とその支流、及び森林によって五つのエリアに分割されている。各エリアはそれぞれ、下記のような特徴を有している。

プレートエリア:オフィスビルが立ち並ぶ、経済の中心区画。
スケイルエリア:富裕層の屋敷が立ち並んだ、閑静な区画。
チェインエリア:自動車工場、宝石職人などの職工たちが集中して居住する区画。
レザーエリア:中流から下流層が中心となった、雑多な区画。
バンデッドエリア:スラム街。開発計画もほぼ放棄され、見捨てられたといっていい区画。

 また、“末裔たる者”であるフォルテンマイヤー一族が居を構えているのも、スケイルエリアである。そのため、このアーク・メリア連邦国においてはドラゴニュートの発言力が比較的強い。

 聖導評議会の影響力も低く、治安はバンデッドエリアを除いて高い水準で保たれていると言える。

3:混沌都市

「神沢市」と「オセロットシティ」が合体した都市。
 この都市にはいくつかの法則があり、それらは地球上及びゴルトロックではまず考えられないものである。

1:一日は十二時間である
 一日は十二時間であり、住人の平均的睡眠時間は三時間から四時間の間。

2:世界に朝は存在せず、常に混沌の夜である
 生温い風と、奇妙な雲が常に空を覆っており、住人たちを時折不愉快な気分にさせている。

3:同じ場所でも、そこへ辿り着くための道は毎回変化する
 あらゆる移動手段に関わらず、目的地への道のりは毎回変化する。高層ビルの間を抜けたあとに突然田舎道へ出ることも多い。全ては偶然によって定められている。
 住人全員が、何らかの疾患(主に頭部、胸部などへの激しい痛み)を抱えている。そのせいか、住人の部分的な記憶の喪失も散見される。


- Copyright ©WillPlus/propeller All right reserved. -