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太平洋戦争が終結し、十年が経過した頃。
人の身でありながら、異形の姿や力を持つものが現れ始めた。
彼らは『人妖病』に罹患した『人妖』と判断され、その他多くの『人間』たちから忌み嫌われた。

彼らの存在を憂慮した日本政府は、とうとう地方の一都市『神沢市』に人妖を隔離することを決定する。

武部涼一という少年がいた。
人妖であった彼は、その秘めた危険性ゆえ『人妖都市・神沢』ではなく、孤島の病院への隔離を余儀なくされた。

そこで彼は『すず』と出会う。様々な人間が彼から離れていこうとも、彼女だけはずっと涼一と共に在った。

だが、ある事件を起こした涼一はすずと共に病院を脱走することになる。

二人は如月双七、如月すずと名前を変え『人妖都市・神沢』に潜り込んだ。
外周を巨大な防壁で囲まれた、人妖の、人妖による、人妖のための都市。

憧れていた平穏な日常や学生生活に浸る双七――他人にはどんなにちっぽけに見えても、彼にとってはかけがえのない大切なものだった。

だが、すずの『ある秘密』を目的とし、政府機関や邪な存在たちが彼女を付け狙う。